■遺族(補償)等給付
更新日:8月9日
ここでは遺族(補償)等給付についてお伝えします。
【遺族(補償)等年金|受給権】
<対象(法16条の2・法20条の6・法22条の4)>
労働者が業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害により死亡した場合、一定の遺族に対して遺族(補償)等年金が支給される。
<遺族の欠格(法16条の9)>
労働者を故意に死亡させた者は、遺族(補償)等給付を受けることができる遺族としない。
労働者を重大な過失により死亡させた場合は、この欠格事由には該当しない。
<受給資格者(法16条の2第1項)>
遺族(補償)等年金を受けることができる遺族は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた次の者である。
1 妻
2 夫は、55歳以上又は一定の障害の状態にあること
3 子及び孫は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は一定の障害の状態にあること
4 父母及び祖父母は、55歳以上又は一定の障害の状態にあること
5 兄弟姉妹は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること、55歳以上であること又は一定の障害の状態にあること
<55歳以上60歳未満の者の取扱い(法16条の2第1項・法16条の5)>
夫、父母、祖父母又は兄弟姉妹は、55歳以上であれば受給資格者となる。
ただし、55歳以上60歳未満であることにより受給資格者となった者については、60歳に達する月まで遺族(補償)等年金の支給が停止される。
<受給順位(法16条の2第3項)>
遺族(補償)等年金は、受給資格者のうち最先順位の者に支給される。
1 妻又は60歳以上若しくは一定の障害の状態にある夫
2 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は一定の障害の状態にある子
3 60歳以上又は一定の障害の状態にある父母
4 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある孫又は一定の障害の状態にある孫
5 60歳以上又は一定の障害の状態にある祖父母
6 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある兄弟姉妹、60歳以上の兄弟姉妹又は一定の障害の状態にある兄弟姉妹
7 55歳以上60歳未満の夫、父母、祖父母又は兄弟姉妹
同順位の受給権者が2人以上いる場合は、その全員が受給権者となる。
55歳以上60歳未満の夫、父母、祖父母又は兄弟姉妹は受給資格者ではあるが、上記7の後順位となり、60歳に達する月まで遺族(補償)等年金の支給が停止される。
<一定の障害の状態(則15条・則18条の9)>
受給資格者について要求される一定の障害の状態とは、遺族(補償)等年金を受ける遺族本人に、次のいずれかの障害がある状態をいう。
1 身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態
2 負傷又は疾病が治っておらず、身体の機能又は精神に、労働が高度の制限を受け、又は労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態
この障害は、死亡した労働者の障害ではなく、夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹である遺族自身の障害をいう。
<生計維持関係>
労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたとは、必ずしも主として生計を維持されていたことを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。
<胎児(法16条の2第2項)>
労働者の死亡当時胎児であった子は、出生したときは、将来に向かって遺族(補償)等年金を受けることができる遺族となる。
<胎児と障害状態(法16条の2第2項・法16条の4第1項5号)>
労働者の死亡当時胎児であった子が出生した場合、その子は将来に向かって労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたものとみなされる。
ただし、労働者の死亡当時から引き続き障害の状態にあったものとはみなされないため、18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了したときは、受給権は消滅する。
<養子となった場合>
遺族(補償)等年金を受ける権利を有する子が、直系血族又は直系姻族の養子となった場合は、受給権は消滅しない。
遺族(補償)等年金を受ける権利を有する子が、直系血族又は直系姻族以外の者の養子となった場合は、受給権は消滅する。
<受給権の消滅(法16条の4)>
遺族(補償)等年金を受ける権利は、次の場合に消滅する。
1 死亡したとき
2 婚姻したとき
3 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったとき
4 離縁により死亡労働者との親族関係が終了したとき
5 子、孫又は兄弟姉妹について、18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了したとき
6 一定の障害の状態にあることにより受給資格者となっていた者が、その障害の状態に該当しなくなったとき
<子の障害状態と受給権の消滅(法16条の4第1項5号)>
労働者の死亡当時から引き続き一定の障害の状態にある子については、その障害の状態にある限り、20歳に達したことのみを理由として遺族(補償)等年金の受給権は消滅しない。
【遺族(補償)等年金|年金額・支給停止・前払一時金】
<年金額(法別表第1)>
遺族(補償)等年金の額は、受給権者及びその者と生計を同じくしている受給資格者の人数に応じて定められる。
遺族1人:給付基礎日額の153日分
遺族2人:給付基礎日額の201日分
遺族3人:給付基礎日額の223日分
遺族4人以上:給付基礎日額の245日分
<妻が1人の場合の特例(法別表第1)>
遺族が妻1人である場合において、その妻が55歳以上又は一定の障害の状態にあるときは、給付基礎日額の175日分が支給される。
妻が55歳未満であるときは給付基礎日額の153日分とされ、55歳に達したときは給付基礎日額の175日分に改定される。
<年金額の改定>
遺族数に増減があった場合は、その増減があった月の翌月から年金額が改定される。
<若年停止(法16条の5)>
夫、父母、祖父母又は兄弟姉妹が55歳以上60歳未満であることにより受給資格者となる場合は、60歳に達する月まで遺族(補償)等年金の支給が停止される。
<所在不明による支給停止(法16条の5)>
遺族(補償)等年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合は、同順位者又は次順位者の申請により、その所在が明らかでない間、その者に対する支給が停止される。
この支給停止は、所在不明となった月の翌月分にさかのぼって行われる。
所在不明であった者は、いつでも支給停止の解除を申請することができる。
支給停止が解除された場合は、解除された月の翌月分から支給が再開される。
<遺族(補償)等年金前払一時金(法附則59条)>
遺族(補償)等年金の受給権者は、請求により、遺族(補償)等年金前払一時金を受けることができる。
前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分又は1000日分から選択する。
<前払一時金の請求>
遺族(補償)等年金前払一時金の請求は、同一の事由に関して1回に限り行うことができる。
遺族(補償)等年金の支給決定の通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までに請求しなければならない。
若年停止者も、遺族(補償)等年金前払一時金を請求することができる。
<遺族(補償)等一時金との関係>
給付基礎日額の1000日分に相当する遺族(補償)等年金前払一時金が支給された場合は、遺族(補償)等一時金は支給されない。
【遺族(補償)等年金|受給資格は死亡時基準】
<原則>
遺族(補償)等年金の受給資格は、労働者の死亡当時に要件を満たしているかにより判断する。
<後発的な要件充足>
労働者の死亡当時に受給資格を有していなかった者が、その後に年齢要件又は障害要件を満たしても、新たに受給資格者となることはない。
【遺族(補償)等年金|事実上婚姻関係にある配偶者】
<対象となる配偶者(法16条の2第1項)>
遺族(補償)等年金を受けることができる配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。
<重婚的内縁関係の場合>
法律上の婚姻関係が形骸化しており、その状態が固定して近い将来解消される見込みがない場合には、事実上婚姻関係にある者が配偶者として扱われることがある。
【遺族(補償)等一時金】
<対象(法16条の6・法20条の6・法22条の4)>
遺族(補償)等一時金は、労働者が死亡した場合において、遺族(補償)等年金を受けることができる遺族がないとき等に支給される。
<受給順位(法16条の7)>
遺族(補償)等一時金を受けることができる遺族の順位は、次のとおりである。
1 配偶者
2 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
3 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していなかった子、父母、孫及び祖父母
4 兄弟姉妹
<兄弟姉妹の順位>
兄弟姉妹は、生計維持関係の有無にかかわらず最後順位となる。
<支給額>
遺族(補償)等一時金の額は、原則として給付基礎日額の1,000日分である。
<支給回数>
遺族(補償)等一時金は、同一の事由について1回限り支給される。
<遺族(補償)等年金前払一時金との関係>
給付基礎日額の1,000日分に相当する遺族(補償)等年金前払一時金が支給された場合は、遺族(補償)等一時金は支給されない。
この記事では遺族(補償)等年金についてご紹介しました。
次回に続きます!
