遺族(補償)等年金
- 筒井

- 12月8日
- 読了時間: 5分
更新日:7 日前
ここでは遺族(補償)等年金についてお伝えします。
【遺族(補償)等年金|まとめ】
<対象>
労働者が業務災害・通勤災害により死亡した場合、
一定の遺族に対して支給される。
<受給順位(最先順位者のみが受給)>
1 配偶者(60歳以上 または 障害の状態)
2 子(18歳年度末まで、障害状態なら年齢制限なし)
3 父母(60歳以上 または 障害の状態)
4 孫(同上)
5 祖父母(60歳以上 または 障害の状態)
6 兄弟姉妹(18歳年度末まで、障害状態なら年齢制限なし)
※生計維持関係が必要(若年停止者を除く)
※胎児は出生すれば「子」として扱う
<生計維持の判断基準>
「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」とは、必ずしも主として維持されていたことを求めない。
労働者の収入によって生計の一部が維持されていれば足りる。
<支給額(給付基礎日額 × 日数)>
遺族1人:153日分
遺族2人:201日分
遺族3人:223日分
遺族4人以上:245日分
55歳以上の妻、または障害の状態にある妻は175日分の額が適用される。
55歳未満であっても、妻が55歳に達した時点で支給日数は「175日分」に引き上げられる。
<支給停止>
・若年停止者:60歳到達月まで停止
・所在不明が1年以上(請求で再開可能)
<受給権の消滅・失権>
・死亡
・婚姻(事実婚含む)
・生計維持関係の消滅
・子・孫・兄弟姉妹が18歳年度末に達したとき
(障害状態にある場合は除く)
<胎児>
労働者の死亡時に胎児であった場合でも、
その胎児が後日出生したときは、
「将来に向かって遺族となる資格を取得する」と扱われる。
<養子になった場合の取扱い>
・直系血族(父母・祖父母など)の養子になったとき
→ 受給権は消滅しない
(死亡労働者の子としての身分が残るため)
・直系血族以外の養子になったとき
→ 受給権は消滅する
(死亡労働者の子としての身分を失うため)
<年金額の変更>
遺族数が変動した場合、翌月から改定。
<遺族(補償)等年金前払一時金>
対象:遺族補償年金の受給権者
支給額:給付基礎日額 ×(200・400・600・800・1000日分)
請求:1回限り、若年停止者も請求可
期限:支給決定通知日の翌日から1年以内
注意:1000日分が支給された場合、遺族補償一時金は支給されない
【遺族補償年金|受給順位は開始時点で固定】
<原則>
遺族補償年金は、死亡当時に要件を満たしていた最先順位者が受給者となり、
受給開始後に順位が変わることはない。
<結果>
他の遺族が後から年齢・障害などの条件を満たしても、
新しい受給権は発生しない。
<例>
父が死亡当時に要件を満たして受給開始した場合、
その後に夫が60歳になっても受給権は生じない。
【所在不明による支給停止と順位繰上げ】
<所在不明の扱い>
遺族補償年金の受給権者が、1年以上所在不明となった場合、
その者の受給権は「支給停止」とされる。
<次順位者への取扱い>
支給停止となったときは、次の順位の遺族が受給権者となり、
本来支給されるべき時点までさかのぼって支給される。
<ポイント>
・「喪失」ではなく「支給停止」扱い
・停止期間中の額は、次順位者へ遡及して支給される
【遺族補償年金|事実上婚姻関係にある配偶者の取扱い】
<対象となる配偶者>
届出による婚姻関係がある配偶者と同様に扱われるケースがある。
次の要件をすべて満たす場合、事実上の婚姻関係にある者も「遺族補償給付を受けることができる配偶者」とされる。
<要件>
・婚姻関係の実体を失って形骸化していないこと
・その状態が固定していて、近い将来に解消される見込みがなかったこと
<ポイント>
形式的な婚姻届の有無ではなく、実態として配偶者と同様の共同生活・扶養関係が継続していたかが判断基準となる。
【遺族補償一時金】
遺族補償年金の受給権者がいない、または全員が失権した場合は、
「遺族の順位に従って、 その時点で要件を満たす最先順位の遺族」に支給される。
支給額:給付基礎日額 × 1000日分
同一の事由について支給は一回限り。
※遺族補償年金前払一時金で1000日分が支給されている場合は支給されない。
【葬祭料】
<対象>
労働者の死亡に伴い葬祭を行う者に支給される。
<支給額>
315,000円 + 給付基礎日額30日分
(これが給付基礎日額60日分に満たない場合は、60日分の額を適用)
<証明書類>
葬祭に要した費用の領収書など、
費用を証明する書類の添付は不要。
【二次健康診断等給付】
<対象>
一次健康診断で、脳・心臓への負担が疑われる有所見がある労働者。
(一次健診の「いずれの項目にも異常がある場合」に実施される。)
一次健康診断を受けた日から「3か月以内」に申請しなければならない。
<必要書類>
二次健康診断を受けるためには、
一次健康診断で「いずれの項目にも異常の所見があること」を
証明できる書類(健診結果の写し等)の添付が必要。
<内容>
・二次健康診断(年1回)
・特定保健指導(二次健診ごとに1回)
<特定保健指導>
一次健診で脳・心臓疾患が既に明らかである場合、
または一次健診の有所見が一定基準以上に重い場合には特定保健指導は実施されない。
<対象外>
一次健診の段階で、すでに脳・心臓疾患が明らかである場合は対象外。
<給付の性質>
二次健康診断および特定保健指導は「現物給付」でおこなわれる。
費用そのものの支給は行われない。
この記事では遺族(補償)等年金についてご紹介しました。
次回に続きます!


