障害基礎年金①
- 筒井

- 8月3日
- 読了時間: 5分
更新日:8月18日
ここでは障害基礎年金についてお伝えします。
●障害基礎年金
●障害基礎年金
<対象者>
・初診日において、国民年金の第1号被保険者であるか、20歳未満で日本国内に住所を有する者
・または、60歳以上65歳未満で国内に住所があり、かつ厚生年金・共済などに加入していない者
・障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあること
<保険料納付要件>
・初診日の前々月までにおける被保険者期間のうち、保険料の納付済期間+免除期間が「2/3以上」あること
└ 例外:初診日に65歳未満であり、直近1年間に未納がなければOK(特例納付要件)
<支給額(令和6年度基準)>
・等級2級:780,900円 × 改定率
・等級1級:2級の1.25倍(=976,125円 × 改定率)
<子の加算(令和6年度基準)>
・対象となる子ども:18歳到達年度末まで、または障害等級1・2級の状態にある子
・加算額:
└ 第1子・第2子:各229,800円 × 改定率
└ 第3子以降:各76,600円 × 改定率
<20歳前傷病による特例>
・20歳前に初診日がある障害の場合は、所得制限があり、かつ保険料納付要件は不要
・支給される障害基礎年金の原資は「全額国庫負担(6/10)」となっている
<60歳以上65歳未満で初診日がある場合>
・原則として第1号被保険者ではないが、国内在住かつ他制度に加入していない場合は支給対象になる
・保険料納付要件は20歳以降の国民年金加入期間に基づいて判定される
<注意点>
・障害の程度が該当しなくなった場合は「速やかに届出」が必要
・障害の状態は更新審査により判定され、支給停止となることもある
【障害認定日の取扱い】
<障害認定日とは>
・初診日から起算して1年6か月を経過した日、または1年6か月以内に治った(症状固定した)場合はその日
<障害認定日の例>
・令和6年1月1日が初診日の場合 → 障害認定日は令和7年7月1日
<例外的な取り扱い>
・1年6か月経過前に症状が固定した場合 → その日が障害認定日となる
(例:義足や人工関節、人工透析など)
<認定日請求>
・障害認定日の時点で障害の状態が等級に該当 → 遡って請求できる
・請求期限は障害認定日から原則5年以内(時効)
<事後重症請求>
・障害認定日時点では等級に該当しないが、その後に悪化して該当した場合
・該当した時点以降に請求可(→支給開始は請求の翌月分から)
<注意点>
・初診日と障害認定日の特定がズレると、納付要件や支給開始時期がズレることがある
・障害年金は原則として「認定日請求」または「事後重症請求」の2ルート
【健康保険と障害基礎年金|故意に障害を負った場合の取扱い】
<健康保険の場合>
・原則として、本人が故意に病気やけがをした場合でも、療養の給付などは支給される。
・ただし、極端に反社会的な行為(刑罰目的の自傷など)の場合、保険者の判断で支給制限されることがある。
<障害基礎年金(国民年金)の場合>
・故意に自分で障害またはその原因となる事故を発生させた場合は、障害基礎年金は支給されない。
・これは年金制度が“偶発的な保険事故”を前提としているため、わざと起こした場合は制度の趣旨に反するため。
<結論>
・健康保険では、基本的に故意のけがでも給付される(※実務では柔軟対応あり)。
・障害基礎年金は、故意に起こした障害に対しては一切支給されない。
【障害基礎年金の併合認定|制度の概要と支給時期】
<併合認定とは>
・初診日が異なる複数の障害がある場合に、それぞれの障害を総合的に評価し、等級を改めて判断する制度
・すでに障害基礎年金を受けている人に、別の障害が新たに加わった場合に用いられる
<対象となるケース>
・障害基礎年金の受給権がある人が、別の傷病によって新たに障害状態になったとき
・新たな障害が単独では1級または2級に該当しない場合でも、既存の障害と併せて評価することで、
総合的に1級または2級と認定される可能性がある
<手続きの流れ>
① 新たな障害についての診断書を提出
② 既存の障害と併せて再審査される(障害認定基準に基づく)
③ 等級が変更される場合、支給額が増額されたり、停止中の年金が再開されることもある
<支給開始時期>
・併合認定による等級変更や再支給が認められた場合、原則として「請求のあった月の翌月分」から支給される
<注意点>
・同じ初診日に基づく障害が進行・悪化した場合は「併合認定」ではなく「障害状態変更届」の対象となる
・障害厚生年金とは異なり、加重認定という仕組みは存在しない
・併合認定でも、診断書の内容・提出時期・障害認定基準への該当性が重視される
<関連ガイドライン>
・障害認定基準(障害基礎年金)
・国民年金の診査要領(日本年金機構)
【障害基礎年金における障害認定日|治った日が認定日になるケース】
・原則:障害認定日は「初診日から起算して1年6か月を経過した日」
・例外:1年6か月を経過する前に「症状が固定して治療効果が期待できない状態」になった場合、
その「治った日」を障害認定日とする
・この「治った日」には、病気が完治した場合だけでなく、
これ以上の治療効果が見込めず症状が固定した状態も含まれる
・このルールにより、障害認定日が早まり、年金の請求や支給開始が早くなる可能性がある
この記事では障害基礎年金についてご紹介しました。
次回に続きます!


