教育訓練でもらえる給付金
- 筒井

- 2024年8月22日
- 読了時間: 10分
更新日:8月17日
ここでは教育訓練についてお伝えします。
【教育訓練給付金まとめ】
<再受給の要件>
・前回の教育訓練給付金を受けてから、次に受けるまでには「受給要件期間(原則3年)」が必要
・受給要件期間は「基本手当を受給した離職日の翌日」からカウント
・期間中に再び基本手当を受給すると、カウントはリセットされる
<重複受給禁止>
・基本手当と教育訓練給付金は同じ期間に同時受給できない
<支給額の上限ルール>
・教育訓練給付金の1日あたりの額が4,000円を超える場合は支給しない
●一般教育訓練給付金
初回の場合被保険者期間が1年以上の一般被保険者・高年齢被保険者が対象です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、修了した場合
受講費の20%(10万円以内)がキャッシュバックされる。
またITスキルなどの特定一般教育訓練の場合
受講費の40%(20万円以内)がキャッシュバックされる。
※また失業して1年以内であれば給付対象となります
<概要>
・雇用保険の被保険者または一定の離職者が、自らの職業生活の向上を目的として、厚生労働大臣が指定する「一般教育訓練」を受講した場合に支給される給付。
・一般教育訓練とは、資格取得やスキル向上のための講座(例:簿記、語学、パソコン、介護職員初任者研修など)。
・目的は、中長期的なキャリア形成や再就職の促進。
<支給額の計算方法>
・支給割合:受講費用の20%
・上限額:10万円
・下限額:4,000円(これ未満は支給なし)
<計算例>
・支給要件期間:15年
・受講費用:30万円
・計算式:30万円 × 20% = 6万円
・上限10万円未満なのでそのまま支給
<根拠条文>
・雇用保険法第60条の2 第4項
・厚生労働省令(教育訓練給付金関係)
●専門実践教育訓練給付金
初回の場合被保険者期間が2年以上の一般被保険者・高年齢被保険者が対象です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練の受講費の50%
(年間40万円・最大4年間で160万円以内)
資格を取得し再就職できた場合には20%が追加で給付される。
<概要>
・厚生労働大臣が指定する、専門的・実践的なスキルを習得できる教育訓練
・資格取得や就職・転職に直結するカリキュラム
・大学・専門学校・各種養成機関などが実施
<教育訓練給付金(専門実践教育訓練)>
・受講費用の一部を国が支給
・給付率:受講費用の50%(上限あり)
・資格取得等で就職した場合、追加で20%(最大70%)支給
<申請手続の流れ>
・受講前に支給対象か確認(ハローワークでキャリアコンサルティング受講、申請)
・受講開始後は、開始日の翌日から起算して1か月以内に「教育訓練給付金受給資格確認票」等を提出
・修了後に支給申請(就職状況や修了証明書を添付)
<試験ポイント>
・設置(開講)届の提出期限と、受講者の申請期限は別
- 届出:原則「開始日の1か月前」まで(事業者側)
- 受講者の申請:開始日の翌日から1か月以内
【専門実践教育訓練給付金の受給回数と上限】
<基本ルール>
・支給額は受講費用の50%(上限40万円/年 × 最長3年)
・資格取得+就職でさらに20%追加(上限16万円/年 × 最長3年)
・合計で最大70万円/年、最長3年(210万円)
・ただし「通算上限」は144万円まで
(例)
・1回目(訓練A) → 120万円受給
・2回目(訓練B) → 支払費用100万円
→ 基本分:50万円
→ 追加分:20万円
→ 本来なら70万円だが、通算上限により制限される
<上限の調整>
・通算上限144万円 − 120万円 = 残り24万円
・追加分も同額(24万円)まで支給可
・合計 24万円+24万円=48万円
<まとめ>
今回の給付額は「本来70万円」だが、通算上限144万円の残り枠48万円までしかもらえない。
【専門実践教育訓練|中長期的なキャリア形成に資する】
<趣旨>
・雇用の安定や再就職の促進を図るため、将来的に活躍できる能力を身につけることを目的とする
・短期的なスキル取得ではなく、資格取得や専門性の高いスキルを通じて、中長期的にキャリア形成に役立つ教育訓練を対象とする
<具体例>
・看護師、介護福祉士、保育士など国家資格につながる講座
・IT分野(AI、データサイエンスなど)の高度専門スキル講座
・実務経験と結びついた専門的かつ実践的な講座
<要件>
・厚生労働大臣が指定する教育訓練であること
・中長期的に能力開発・再就職の基盤となること
・修了や資格取得により、雇用の安定・キャリアアップに直結すること
<ポイント整理>
・一般教育訓練:短期的な知識・スキルの習得
・専門実践教育訓練:資格や高度スキルで中長期的キャリア形成
●教育訓練支援給付金
専門実践教育訓練を受講したい45歳未満の失業者で基本手当をもらえない人が対象です。
賃金日額の80%が教育訓練受講日に給付される
※令和7年3月31日までの給付金
【教育訓練給付の支給要件期間】
<解説>
教育訓練給付は、雇用保険の被保険者や過去の被保険者が、一定の教育訓練を受講したときに費用の一部が支給される制度。
この「一定の教育訓練」とは、大きく分けて
・一般教育訓練
・特定一般教育訓練
・専門実践教育訓練
の3種類がある。
受給するためには「支給要件期間(=雇用保険の被保険者であった期間)」が必要で、
初めて受ける場合と、過去に受けたことがある場合で条件が異なる。
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<初めて教育訓練給付金を受ける場合>
・専門実践教育訓練 → 支給要件期間が2年以上で受給可能
<過去に教育訓練給付金の支給を受けたことがない場合>
・一般教育訓練・特定一般教育訓練 → 支給要件期間は1年以上
・専門実践教育訓練 → 支給要件期間は2年以上
【教育訓練給付|適用対象期間延長と「一般被保険者でなくなって1年以内」】
<基本ルール>
・教育訓練給付の適用対象期間延長は、病気・ケガ・出産・育児などで訓練を開始できない場合に認められる
・ただし、傷病手当金を受けているだけでは延長対象にならない(原則)
<特例ルールの入口条件>
・「一般被保険者でなくなってから1年以内」の者が対象
・この1年以内という条件は、特例の入口要件であり、これを超える人は特例の対象外
<特例ルールの内容>
・離職後1年以内に、負傷や病気で30日以上教育訓練を開始できない場合に延長を検討
・ただし、この場合でも傷病手当金を受けていると延長対象とならない
<ポイント整理>
・「1年以内」は特例の入口条件
・入口条件を満たさない人は、そもそも今回の特例ルールの適用外
・通常ルールと特例ルールは別物
【訓練延長給付と傷病手当の支給制限】
<対象>
・訓練延長給付に係る基本手当を受給中の求職者
<支給されない理由>
・傷病手当は「所定給付日数の範囲内」でしか支給されない
・訓練延長給付による基本手当の支給中は、その範囲を超えているとみなされるため、傷病手当は支給されない
<補足>
・傷病手当が支給される日数 = 所定給付日数 - すでに支給された基本手当の日数
・この支給日数には、延長給付分は含まれない
<結論>
・訓練延長給付に係る基本手当を受給中は、傷病手当は支給されない
<根拠>
・雇用保険法 第37条第4項、番号53004
【訓練延長給付|待機期間の取扱い】
・受給資格者が、公共職業安定所長の指示により公共職業訓練等を受ける場合
・ただし、訓練期間が2年を超えるものは除く
・訓練を受けるために「待機している期間」についても、訓練延長給付の支給対象となる
・この待機期間は 最大90日 を限度として支給される
【訓練延長給付|就職困難者の取扱い】
<概要>
・公共職業安定所長の指示による公共職業訓練等を受講終了後も、なお就職が相当程度困難であると認められた場合に適用される。
<支給日数の計算方法>
・基準:訓練終了日の翌日から30日
・この30日から「訓練終了日における基本手当の支給残日数」を差し引く。
・残日数が30日に満たない場合のみ差引計算を行う。
<適用条件>
・基本手当の支給残日数が「30日未満」の場合に限る。
・30日以上残っている場合は、この延長給付は適用されない。
<ポイント>
・「30日 − 基本手当の支給残日数」で算出された日数分の訓練延長給付を受けられる。
・就職困難の判断は公共職業安定所長が行う。
・訓練終了後の待機・就職活動を支援する趣旨。
【訓練延長給付と認定職業訓練の指定可否】
・訓練延長給付の対象となる「公共職業訓練等」には、認定職業訓練(職業能力開発促進法第4条第2項)も含まれる。
・公共職業安定所長は、認定職業訓練を公共職業訓練等として指定できる。
【特定一般教育訓練給付金|後払い型の流れ】
<受講前の手続き>
・開始日の1か月前までに、教育訓練給付金受給資格確認票をハローワークに提出し、資格確認を受ける。
<受講と費用支払い>
・受講料は全額自己負担(立替払い)。
・訓練を修了するまで受講を継続する。
<修了後の手続き>
・修了日の翌日から起算して1か月以内に「教育訓練給付金支給申請書」をハローワークに提出。
<支給>
・審査を経て、受講料の一部(特定一般教育訓練は最大40%)が後日支給される。
【受講手当の支給内容】
<金額>
・1日あたり500円
<支給期間の上限>
・最大40日分まで
<ポイント>
・支給対象となるのは、雇用保険の受給資格者が公共職業訓練などの受講をしている期間。
・1日500円 × 40日分 = 最大2万円の支給。
・あくまで「手当」であり、交通費や訓練費とは別に支給される。
【受講手当|内職をした日の扱い】
<状況>
・受給資格者が「公共職業訓練等を受けた日」である
・同日に「内職収入がある(内職・手内職をした)」
<支給の可否>
・内職収入により、基本手当が「減額」や「不支給」になることがある
・ただしその日が「基本手当の支給対象となる日」に含まれている場合は、
→ 受講手当は支給される
<ポイント>
・「基本手当が支給されない日」でも、
「基本手当の支給対象となる日」にカウントされていればOK
・よって、内職をした日でも受講手当は支給されることがある
<根拠>
・雇用保険法 第36条第1項
・雇用保険法施行規則 第57条第1項
【キャリアコンサルティング費用(一般教育訓練給付金)】
<概要>
・一般教育訓練給付金の支給申請時、キャリアコンサルティングを受けることは必須ではない。
・受けた場合は、上限2万円までの費用を「教育訓練の受講のために支払った費用」に含められる。
<対象となる費用>
・国家資格キャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングの費用。
・教育訓練の開講日前1年以内に受けたもの。
・入学料や最大1年分の受講料と同様に、教育訓練給付金算定の基礎に含めることができる。
<ポイント>
・一般教育訓練給付金では、特定一般教育訓練や専門実践教育訓練のような職務経歴等記録書の提出は不要。
・キャリアコンサルティングは任意だが、受けると費用計上の対象になる。
・上限:2万円(受講料と別枠で計上可)。
【雇用保険|教育訓練給付の支給要件照会票】
<支給要件照会票とは>
・教育訓練給付を受けたい人が、受講予定の講座について事前に提出する書類。
・厚生労働省が定めた様式があり、ハローワークや公式サイトで入手できる。
・申請者自身が必要事項を記入して提出する。
<流れ>
① 照会票を本人が作成し、受講予定の講座情報を記入。
② ハローワークに提出。
③ ハローワークが雇用保険の被保険者期間や要件を確認。
④ 結果が回答され、「要件を満たす/満たさない」の通知を受ける。
<不服申立てとの関係>
・支給要件照会の回答は「行政処分」ではなく単なる確認。
・したがって、この回答に対して審査請求(不服申立て)はできない。
・実際に「支給申請 → 不支給決定」が出た場合に初めて不服申立て可能。
<ポイント>
・「照会票=本人が記入して提出するもの」
・「ハロワが回答するが、審査請求の対象にはならない」
・支給要件確認は申請前のステップであることを押さえる。
この記事では雇用保険被保険者の教育訓練についてご紹介しました。
次回に続きます!


