離婚時における厚生年金の給付
- 筒井

- 7月23日
- 読了時間: 2分
更新日:8月1日
ここでは離婚時における厚生年金の給付についてお伝えします。
【離婚時の厚生年金の分割】
<制度の目的>
・婚姻期間中に形成された厚生年金(報酬比例部分)を、離婚時に夫婦で分け合う制度
<分割の対象>
・厚生年金の報酬比例部分のみ(基礎年金や加給年金部分は含まれない)
<分割の種類>
【合意分割】
・当事者の合意に基づき分割割合を決める(1/2が上限)
・離婚から2年以内に請求する必要がある
・請求には年金分割の情報通知書(年金事務所で取得)が必要
・夫婦の双方または一方が厚生年金に加入していた場合に利用可能
【3号分割】
・第3号被保険者(=専業主婦など)が対象
・平成20年4月1日以降の期間に限定
・配偶者(第2号被保険者)の厚生年金報酬比例部分のうち、婚姻期間分を1/2で自動分割
・合意不要、本人単独で請求可能(離婚後2年以内)
→ 合意分割と3号分割は併用可能(条件を満たす場合)
<請求期限>
・離婚成立日から2年以内
※2年を過ぎると請求不可(時効に注意!)
<情報提供請求と手続きの流れ>
・分割の話し合いや裁判の準備のために「情報提供請求」ができる(年金事務所で申請)
・これはあくまで「請求前の準備段階」でのみ可能
・一度「標準報酬改定請求」(=分割の本請求)を行ったあとは、情報提供請求はできない
→ 情報の開示は“分割請求の準備のため”であることが原則!
<注意ポイント>
・対象はあくまで「報酬比例部分」のみ
・「定額部分」「加給年金額」「基礎年金」などは分割対象外
・合意がなくても3号分割が使えるのは第3号被保険者にとって重要な救済措置
・離婚による年金分割で標準報酬が改定された場合、その分の期間は老齢厚生年金の300月みなし対象期間には含めない
→ 分割で“もらえる報酬額”は増えても、“みなし加入期間”にはならない点に注意!
用語 | 意味 |
対象期間 | 婚姻中など、分割の対象となる期間(最大で厚生年金加入中) |
標準報酬月額 | 毎月の年金保険料の計算ベースとなるお給料の額(ざっくり) |
対象期間標準報酬総額 | 対象期間中の「標準報酬月額の合計」 |
按分割合 | どれくらい分けてもらうか(多くは1/2) |
使い道 | 年金分割の際の計算基準として使用 |
項目 | 含まれる? | 理由 |
年金額の計算 | ◯ | 報酬比例部分に反映される(厚生年金) |
老齢厚生年金の資格期間 | ✕ | 保険料を実際に納めた期間じゃない |
特別支給の老齢厚生年金の資格 | ✕ | 上と同じく「実在する被保険者期間」が必要 |
この記事では離婚時における厚生年金の給付についてご紹介しました。
次回に続きます!


