高年齢任意加入被保険者
- 筒井

- 8月2日
- 読了時間: 4分
更新日:8月16日
ここでは高年齢任意加入被保険者についてお伝えします。
●高年齢任意加入被保険者
<定義・制度概要>
・老齢基礎年金の受給資格期間(原則10年)を満たしていない人が、60歳以降も任意で国民年金に加入できる制度。
・加入時の年齢により、2つの区分に分かれる:
① 高齢任意加入被保険者:60歳以上65歳未満
② 高年齢任意加入被保険者:65歳以上70歳未満
→ どちらも「任意加入被保険者」の一種だが、扱いは一部異なる。
<加入対象者>
①【60歳以上65歳未満(高齢任意加入)】
・日本国内に住所がある人で、受給資格期間(10年)を満たしていない人
・20歳〜60歳の間に保険料納付が足りなかった人
②【65歳以上70歳未満(高年齢任意加入)】
・日本国内に住所があること
・老齢基礎年金の受給資格(10年)を満たしていないこと
・国民年金保険料を納付する意思があること
<加入できない人(共通)>
・厚生年金や共済組合に加入中の人(=第2号被保険者)
・国外に居住している人(=住所要件を満たさない)
・障害基礎年金や遺族基礎年金を受給中の人(高年齢任意加入の場合)
<保険料>
・定額保険料(例:令和6年度 16,980円/月)
・保険料は全額自己負担
・付加保険料は、高年齢任意加入者は納付不可
・納付期限は「翌月末」/口座振替・前納も可能
<加入可能期間>
① 高齢任意加入:60歳の誕生日の前月から65歳の誕生日の前日まで
② 高年齢任意加入:65歳の誕生日の前日から70歳の誕生日の前日まで
・ただし、10年に達するまでの期間のみ加入できる(=受給資格を得たら終了)
<資格喪失のルール>
・納付を滞納した場合:納付期限の属する月の前月末日に資格喪失
・本人が脱退を申し出た場合:受理された翌日に資格喪失
・初回納付期限までに納付がない場合:最初から資格なしとされる
・70歳到達月の末日で任意加入は自動終了(高年齢任意加入)
<その他の特徴・注意点>
・加入は申出制(自動加入ではない)
・保険料の追納は不可 → 納付できるのは加入後の月分のみ
・配偶者であっても第3号被保険者にはなれない(=第1号扱い)
・すでに受給資格がある人は、年金額の上乗せ目的で60〜65歳の間に任意加入可(70歳未満まで)
<目的>
・受給資格を満たしていない人の「無年金」を防ぐための救済措置
・あくまで「資格を得る」ための制度であり、満額受給は別問題(納付月数で決まる)
<よくある誤解>
・70歳まで納めれば満額もらえる → ❌ 納付期間によって金額は変動
・70歳以降も任意加入できる → ❌ 任意加入は70歳の前日まで!
【国民年金|法附則による免除特例(60歳以上65歳未満の任意加入者)】
<制度の背景>
・60歳以上65歳未満の人が、年金額の増額を目的に国民年金に「任意加入」した場合、
本来は「全額納付」が原則。
・しかし、所得が少ないなど経済的理由がある場合に、保険料を全額負担するのは困難なこともある。
<法附則による特例免除>
・このような人のために、法附則により「免除制度の特例」が設けられている。
<概要>
・対象:
60歳以上65歳未満で国民年金に「任意加入」している人
・条件:
本人からの申請があること
※収入等の審査あり(市区町村の窓口で手続)
・内容:
所得等の条件を満たせば、「一定期間」保険料の免除を受けることができる
→ 通常の全額免除・一部免除のような仕組みに準じて認定される
<注意点>
・任意加入で免除された期間は、「老齢基礎年金の受給資格期間には算入される」が、
年金額の計算には反映されない(=未納扱いと同様)。
・よって、年金額を増やす目的で任意加入する場合は、原則として納付した方が有利
【高年齢任意加入被保険者|受給権の誤解ポイント】
<制度の基本>
・高年齢任意加入被保険者とは、65歳以上70歳未満で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない者が、国民年金に任意加入できる制度
・対象は「国民年金」であり、「厚生年金」ではない
<誤解されやすい点>
・「退職を支給事由とした年金の受給権を有しない者は高年齢任意加入被保険者となれる」という記述は誤り
・理由:
- 「退職を支給事由とする年金」は厚生年金(老齢厚生年金)の支給事由のこと
- 高年齢任意加入の要件は「厚生年金の受給権の有無」ではなく、「老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないかどうか」で判断される
<正しい要件>
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない者(65歳以上70歳未満)が加入できる
・厚生年金の受給権の有無は関係しない
この記事では高年齢任意加入被保険者についてご紹介しました。
次回に続きます!


