高年齢雇用継続基本給付金
- 筒井

- 7月20日
- 読了時間: 4分
更新日:8月21日
ここでは高年齢雇用継続基本給付金についてお伝えします。
●高年齢雇用継続基本給付金
60歳以降の賃金が退職前の75%未満に下がった場合に、雇用保険から支給される賃金補填の給付金。高齢者の就業継続を支援する制度。
<対象者>以下すべてに該当する人:
・雇用保険の被保険者で60歳以上65歳未満の一般被保険者
・60歳到達時点で継続して雇用されていた
・60歳以降も引き続き雇用されている
・60歳到達時の賃金と比べて、75%未満に減少している
・支給対象月に一定以上の賃金を得ている(上限あり)
<支給額>支給対象月ごとに、以下の式で計算:
支給額 = 賃金月額 × 支給率(最大15%)
・支給率は段階的に設定され、60%未満で最大15%補填
・60%以上75%未満は補填率が段階的に下がる
・賃金が75%以上なら支給なし
<算定基礎賃金日額の決定>
・算定基礎賃金日額は、過去5年間の賃金記録をもとに計算する
・基本手当や高年齢求職者給付金(直近6か月基準)とは計算期間が異なるため注意
<注意点>
・標準報酬月額にも影響するため、在職老齢年金との調整対象になる
・一定の手続きをしないと支給されない(雇用主経由でハローワークに申請)
・65歳到達月の前月までが支給対象(月によって異なる)
<関連ワード>
・在職老齢年金(年金との支給調整あり)
・高年齢再就職給付金(こちらは再就職者対象、別制度)
【高年齢雇用継続給付金と老齢厚生年金の調整】
高年齢雇用継続給付金(=高年齢雇用継続基本給付金および高年齢再就職給付金)と老齢厚生年金(特別支給を含む)は、同時に支給される場合、年金側の支給が調整(=一部支給停止)されることがある。
<調整のルール>
・高年齢雇用継続基本給付金を受給している人が老齢厚生年金を受け取る場合、
一定の条件を満たすと、年金が最大で15,000円まで支給停止される可能性あり。
・同様の調整は「高年齢再就職給付金」受給時にも適用される。
<調整が行われない条件>
・標準報酬月額が32万円以上の場合
→ 高年齢雇用継続給付金の「賃金低下」に該当しないと見なされるため、年金の調整は行われない。
<例>
・総報酬月額相当額が37万円(例:標準報酬24万円+賞与年額156万円(=月あたり13万円))
→ 標準報酬月額=24万円 → 32万円未満 → 調整対象になる可能性あり
・標準報酬月額が32万円以上 → 高年齢雇用継続給付金との調整「ナシ」
<ポイント>
・「調整される=年金の一部が減額される」ことを意味する
・支給停止された年金は、後から支給されることはない(不支給扱い)
・標準報酬月額が高ければ年金もそのまま支給される
【高年齢雇用継続基本給付金と支給停止事由該当届】
高年齢雇用継続基本給付金を受けている人が在職老齢年金の支給停止対象となる場合、老齢厚生年金の支給額に影響が出るため、一定の手続きが必要になる。
<要件・手続き>
給付金の支給を受けている人が在職老齢年金の支給停止の対象となった場合
速やかに「支給停止事由該当届」を日本年金機構に提出しなければならない → ハローワークではなく、年金機構への手続き!
<理由>
高年齢雇用継続基本給付金と老齢厚生年金は併給調整の対象
二重に給付を受けるのを防ぐため、届出が必要になる
※補足
提出が遅れると過払いや調整ミスの原因になり、後日返還請求が来ることもあるため注意
【雇用保険|高年齢雇用継続給付と最低限度額】
<最低限度額>
・令和6年度の賃金日額の最低限度額:2,600円
・その80%=約2,080円
<支給制限のルール>
・高年齢雇用継続基本給付金
・高年齢再就職給付金
→ 賃金日額が「最低限度額の80%(約2,080円)」を超える場合には支給されない
<ポイント>
・「賃金が下がれば支給」だが、「下がりすぎても支給なし」という逆転ルールあり
・試験対策では「80%ルール」を要チェック!
この記事では高年齢雇用継続基本給付金についてご紹介しました。
次回に続きます!


