■厚生年金保険法(財政・保険料の免除・滞納)
- 筒井

- 4月16日
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更新日:37 分前
ここでは財政・保険料の免除・滞納についてお伝えします。
【財政の基本(法2条の3・2条の4)】
<財政の均衡>
・厚生年金保険事業の財政は、長期的に均衡が保たれなければならない
・著しく均衡を失すると見込まれる場合
→ 速やかに所要の措置を講じる
<財政の現況及び見通し>
・政府は、少なくとも5年ごとに作成する
・財政均衡期間
→ 作成する年以降おおむね100年間
・作成後は遅滞なく公表する
【調整期間(法34条)】
<調整期間>
政府は、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金を保有しつつ、財政均衡期間にわたって財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合、保険給付の額を調整する。
この保険給付の額を調整する期間を「調整期間」という。
【国庫負担(法80条)】
<事務費>
・国庫は、毎年度、予算の範囲内で厚生年金保険事業の事務の執行に要する費用を負担する
<基礎年金拠出金>
・国庫は、基礎年金拠出金の額の2分の1を負担する
【積立金の運用(法79条の2)】
<運用の目的>
積立金は、
・被保険者から徴収した保険料の一部である
・将来の保険給付の貴重な財源である
ことに留意し、専ら被保険者の利益のため、長期的な観点から安全かつ効率的に運用する。
【保険料の額・負担(法81条・82条)】
<保険料の額>
・標準報酬月額に係る保険料
→ 標準報酬月額×保険料率
・標準賞与額に係る保険料
→ 標準賞与額×保険料率
<保険料率>
・最終保険料率
→ 1,000分の183.00
<保険料の負担>
・原則
→ 被保険者と事業主がそれぞれ保険料の2分の1を負担する
・高齢任意加入被保険者が事業主の同意を得ていない場合
→ 被保険者が保険料の全額を負担し、自ら納付する
【資格取得月・資格喪失月の保険料(法19条・81条)】
<月単位の取扱い>
・資格取得日の属する月
→ 被保険者期間に算入され、保険料を徴収する
・資格喪失日の属する月
→ 原則として被保険者期間に算入されず、保険料を徴収しない
<退職日の取扱い>
・月の途中で退職
→ 資格喪失日は退職日の翌日となり、退職月の保険料は原則として徴収しない
・月末に退職
→ 資格喪失日は翌月1日となるため、退職月の保険料を徴収する
【船舶所有者に関する特例(法24条・82条、令4条)】
<船舶と事業所への同時使用>
被保険者が船舶に使用され、かつ、同時に事業所にも使用される場合、
・船舶所有者以外の事業主
→ 保険料を負担しない
→ 保険料の納付義務を負わない
・船舶所有者
→ 保険料の2分の1を負担する
→ 被保険者負担分を含む保険料全額を納付する
<標準報酬月額>
・船舶所有者から受ける報酬のみを基礎として決定する
・船舶所有者以外の事業主から受ける報酬は算定基礎に含めない
【保険料の納付(法83条)】
<納付義務者>
・事業主が、被保険者負担分と事業主負担分をまとめて納付する
<納付期限>
・毎月の保険料
→ 翌月末日までに納付する
【育児休業等期間中の保険料免除(法81条の2)】
<免除の要件>
・事業主が実施機関に申出をした場合、被保険者負担分及び事業主負担分を免除する
<免除期間>
・育児休業等開始日の属する月から、育児休業等終了日の翌日が属する月の前月まで
<同一月内の育児休業等>
・開始月と終了日の翌日が属する月が同一の場合
→ 育児休業等の日数が14日以上であれば、標準報酬月額に係る保険料を免除する
<標準賞与額に係る保険料>
・育児休業等の期間が1か月を超える場合に限り免除する
・育児休業等の期間が1か月以下の場合
→ 標準賞与額に係る保険料は免除されない
【産前産後休業期間中の保険料免除(法81条の2の2)】
<免除の要件>
・事業主が実施機関に申出をした場合、被保険者負担分及び事業主負担分を免除する
<免除期間>
・産前産後休業開始日の属する月から、産前産後休業終了日の翌日が属する月の前月まで
<免除期間の取扱い>
・保険料を免除された期間も被保険者期間として扱われる
・保険料を納付したものとして年金額を計算するため、年金額は減額されない
【保険料率の統一(法81条・附則)】
<第1号厚生年金被保険者>
・平成29年9月以後
→ 1,000分の183.00
<第2号・第3号厚生年金被保険者>
・平成30年9月以後
→ 1,000分の183.00
<第4号厚生年金被保険者>
・段階的に引き上げる
・令和9年4月以後
→ 1,000分の183.00
【口座振替・過納額の繰上充当(法83条2項・83条の2)】
<口座振替>
厚生労働大臣は、納付義務者から口座振替による納付の申出があった場合、納付が確実かつ徴収上有利と認められるときは、その申出を承認することができる。
<過納額の繰上充当>
厚生労働大臣は、次のいずれかを知ったときは、その超過部分を、告知又は納付の日の翌日から6か月以内に納付されるべき保険料について、納期を繰り上げて納付したものとみなすことができる。
・納入を告知した保険料額が、納付すべき保険料額を超えているとき
・納付された保険料額が、納付すべき保険料額を超えているとき
【保険料の源泉控除(法84条)】
<報酬からの控除>
事業主は、被保険者に通貨で報酬を支払う場合、被保険者が負担する前月分の保険料を報酬から控除することができる。
<賞与からの控除>
事業主は、賞与を支払う場合、その賞与に係る被保険者負担分の保険料を賞与から控除することができる。
【保険料の繰上徴収(法85条)】
<繰上徴収>
次の事由などが生じた場合、納期前であっても保険料を徴収することができる。
・国税、地方税その他の公課について滞納処分を受けるとき
・強制執行を受けるとき
・破産手続開始の決定を受けたとき
・企業担保権の実行手続開始があったとき
・競売開始があったとき
・法人が解散したとき
・被保険者を使用する事業所が廃止されたとき
・船舶所有者の変更、船舶の滅失・沈没等があったとき
【督促(法86条)】
<督促>
・保険料その他の徴収金を滞納する者があるとき
→ 厚生労働大臣は、期限を指定して督促しなければならない
・繰上徴収をする場合
→ 督促を要しない
<督促状の指定期限>
・原則として、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日を指定する
【延滞金(法87条)】
<計算期間>
・納期限の翌日から、保険料を完納した日又は財産を差し押さえた日の前日まで
<法定割合>
・納期限の翌日から3か月を経過する日まで
→ 年7.3%
・3か月経過後
→ 年14.6%
※当分の間、特例により軽減された割合が適用される
<延滞金を徴収しない場合>
・保険料額が1,000円未満であるとき
・繰上徴収をするとき
・督促状で指定された期限までに保険料を完納したとき
・延滞金の額が100円未満であるとき
<端数処理>
・延滞金の額に100円未満の端数があるとき
→ その端数を切り捨てる
【滞納処分(法86条)】
<滞納処分ができる場合>
①督促を受けた者が、指定期限までに保険料その他の徴収金を納付しない場合
②繰上徴収により納入の告知を受けた者が、指定期限までに保険料を納付しない場合
<処分方法>
・国税滞納処分の例によって処分する
・納付義務者の居住地又は財産所在地の市町村に処分を請求することができる
<市町村への交付金>
・市町村が処分した場合
→ 徴収金額の100分の4を市町村に交付する
【国税庁長官への権限委任(法100条の5)】
<委任>
厚生労働大臣は、一定の悪質又は高額な滞納案件について、滞納処分等の権限を財務大臣を通じて国税庁長官に委任することができる。
【破産手続と繰上徴収(法85条)】
<破産手続開始の申立て>
・破産手続開始の申立てがあっただけの場合
→ 繰上徴収の事由には該当しない
<破産手続開始の決定>
・破産手続開始の決定を受けた場合
→ 繰上徴収することができる
【受給権者への情報提供等(法128条)】
<厚生労働大臣が行う措置>
厚生労働大臣は、被保険者及び被保険者であった者に対し、必要に応じて、
・年金たる保険給付を受ける権利の裁定請求に係る手続に関する情報を提供する
・裁定請求を行うことを勧奨する
この記事では財政・保険料の免除・滞納についてご紹介しました。
次回に続きます!