■社会保険労務士法(業務・法人・紛争対応)
更新日:8月17日
ここでは業務・法人・紛争対応についてお伝えします。
【社会保険労務士法人】
<設立・名称 法25条の6・25条の7>
・社会保険労務士は、社会保険労務士法に定める業務を行うことを目的として、社会保険労務士法人を設立することができる。
・社会保険労務士法人は、社員1人でも設立することができる。
・社会保険労務士法人は、その名称中に「社会保険労務士法人」という文字を使用しなければならない。
<社員の資格 法25条の8>
・社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならない。
・社会保険労務士でない者は、社員となることはできない。
・業務停止処分を受け、その停止期間を経過していない社会保険労務士は、社員となることができない。
・社会保険労務士法人が解散又は業務停止を命ぜられた場合において、その処分の日以前30日内にその社員であった者は、原則として処分の日から3年間、社員となることができない。
・業務停止を命ぜられた場合は、その業務停止期間を経過すれば社員となることができる。
<業務の範囲 法25条の9・25条の9の2>
・社会保険労務士法人は、申請書等の作成、提出代行、事務代理及び労務管理その他労働・社会保険に関する相談・指導等の業務を行うことができる。
・定款で定めることにより、社会保険労務士の業務に準ずるものとして厚生労働省令で定める業務及び紛争解決手続代理業務を行うことができる。
・紛争解決手続代理業務は、社員のうちに特定社会保険労務士がいる社会保険労務士法人に限り行うことができる。
・社会保険労務士法人は、補佐人業務を社員又は使用人である社会保険労務士に行わせる事務の委託を受けることができる。
・補佐人業務の委託を受けた場合は、委託者に、社員又は使用人である社会保険労務士の中から補佐人を選任させなければならない。
<設立手続・成立 法25条の10〜25条の13>
・社会保険労務士法人を設立するには、社員になろうとする社会保険労務士が定款を定めなければならない。
・定款には、目的、名称、事務所の所在地、社員の氏名及び住所、社員の出資に関する事項並びに業務の執行に関する事項を記載しなければならない。
・社会保険労務士法人の設立について、厚生労働大臣の認可は必要ない。
・社会保険労務士法人は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
・社会保険労務士法人は、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して、全国社会保険労務士会連合会に届け出なければならない。
<社員と使用人>
・社員は、社会保険労務士法人に出資し、原則として法人の業務を執行し、法人を代表する社会保険労務士である。
・使用人である社会保険労務士は、社会保険労務士法人に雇用されて法人の業務に従事するが、法人の社員ではない。
・社会保険労務士法人は、社会保険労務士でない者に、申請書等の作成、提出代行、事務代理等の業務を行わせてはならない。
<業務を執行する権限 法25条の15>
・社会保険労務士法人の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、すべて法人の業務を執行する権利を有し、義務を負う。
・紛争解決手続代理業務については、特定社会保険労務士である社員のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
<法人の代表 法25条の15の2>
・社会保険労務士法人の社員は、原則として各自、社会保険労務士法人を代表する。
・定款又は総社員の同意により、社員のうち特に法人を代表する者を定めることができる。
・紛争解決手続代理業務については、特定社会保険労務士である社員のみが各自法人を代表する。
・特定社員全員の同意により、特定社員のうち特に紛争解決手続代理業務について法人を代表する者を定めることができる。
<社員の責任 法25条の15の3>
・社会保険労務士法人の財産をもって法人の債務を完済することができないときは、各社員は連帯してその弁済の責任を負う。
・社会保険労務士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかったときも、原則として各社員が連帯して弁済の責任を負う。
・紛争解決手続代理業務に関して法人が依頼者に対して負担した債務を法人の財産で完済できない場合は、特定社員が連帯して弁済の責任を負う。
<社員の常駐 法25条の16・25条の16の2>
・社会保険労務士法人の各事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。
・紛争解決手続代理業務を行う社会保険労務士法人は、特定社員が常駐していない事務所では、紛争解決手続代理業務を取り扱うことができない。
<社員の競業禁止 法25条の18>
・社会保険労務士法人の社員は、自己又は第三者のために、その社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならない。
・社会保険労務士法人の社員は、他の社会保険労務士法人の社員となってはならない。
・社員が競業禁止に違反して自己又は第三者のために業務を行ったときは、その業務によって社員又は第三者が得た利益の額が、法人に生じた損害額と推定される。
<業務の執行方法 法25条の19>
・社会保険労務士法人は、社会保険労務士でない者に、申請書等の作成、提出代行、事務代理等の業務を行わせてはならない。
・紛争解決手続代理業務を行う社会保険労務士法人は、特定社会保険労務士でない者に紛争解決手続代理業務を行わせてはならない。
<法定脱退 法25条の21>
・社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士の登録の抹消、定款に定める理由の発生、総社員の同意又は除名により法人を脱退する。
<解散 法25条の22>
・社会保険労務士法人は、定款に定める理由の発生、総社員の同意、他の社会保険労務士法人との合併、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判、厚生労働大臣による解散命令又は社員の欠亡によって解散する。
・社員が1人であることは解散事由ではなく、1人法人として存続することができる。
・社員が1人もいなくなった場合は、社員の欠亡として解散事由となる。
・合併以外の理由により解散したときは、解散の日から2週間以内に、主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して、全国社会保険労務士会連合会に届け出なければならない。
<検査役の選任 法25条の22の6>
・裁判所は、社会保険労務士法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
・検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
・裁判所は、検査役を選任した場合、社会保険労務士法人が検査役に支払う報酬の額を定めることができる。
<違法行為等に対する処分 法25条の24>
・厚生労働大臣は、社会保険労務士法人が社会保険労務士法若しくは同法に基づく命令に違反し、又はその運営が著しく不当と認められるときは、戒告、1年以内の業務の全部若しくは一部の停止又は解散命令をすることができる。
・社会保険労務士法人に対する処分と併せて、違反行為をした社員又は使用人である社会保険労務士に対して懲戒処分を行うこともできる。
【社会保険労務士法人の労働者派遣】
<労働者派遣事業 法25条の9>
・社会保険労務士法人は、定款で定めるところにより、労働者派遣事業を行うことができる。
・派遣の対象となるのは、社会保険労務士法人の使用人である社会保険労務士である。
・派遣先は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に限られる。
・一般企業その他の者に対して、使用人である社会保険労務士を派遣することはできない。
【特定社会保険労務士と紛争解決手続代理】
<資格要件 法2条2項・法14条の11の3>
・紛争解決手続代理業務を行うことができるのは、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿に紛争解決手続代理業務の付記を受けた特定社会保険労務士に限られる。
<事務所要件 法25条の9>
・社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務を取り扱う場合は、当該業務を取り扱う事務所に、特定社会保険労務士である社員を常駐させなければならない。
・特定社会保険労務士である社員が常駐していない事務所では、紛争解決手続代理業務を取り扱うことができない。
<対象となる紛争解決手続代理業務 法2条1項1号の4~1号の6・2項>
・個別労働関係紛争解決促進法に基づき、都道府県労働局の紛争調整委員会が行うあっせんの手続における紛争当事者の代理。
・男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、短時間・有期雇用労働法等に基づき、都道府県労働局の紛争調整委員会が行う調停の手続における紛争当事者の代理。
・都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争に関するあっせんの手続における紛争当事者の代理。
・個別労働関係紛争について、厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続における紛争当事者の代理。
・紛争解決手続代理業務には、紛争解決手続の開始から終了までの間に行う和解の交渉及び和解契約の締結の代理が含まれる。
<単独代理と紛争目的価額の制限 法2条1項1号の6>
・特定社会保険労務士は、原則として紛争解決手続代理業務を単独で行うことができる。
・厚生労働大臣が指定する団体が行う個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続について、特定社会保険労務士が単独で代理できるのは、紛争の目的の価額が120万円以下の場合に限られる。
・紛争の目的の価額が120万円を超える場合は、弁護士との共同受任が必要となる。
・都道府県労働局の紛争調整委員会が行うあっせん・調停や、都道府県労働委員会が行うあっせんについては、紛争の目的の価額による制限はない。
<裁判所における補佐人 法2条の2>
・社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
・補佐人としての出頭及び陳述を行うことができる社会保険労務士は、特定社会保険労務士に限られない。
・社会保険労務士が補佐人として行った陳述は、弁護士である訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しない限り、当該訴訟代理人が自ら行ったものとみなされる。
・補佐人として出頭し、陳述する場合には、紛争の目的の価額による上限は定められていない。
【社会保険労務士による補佐人としての陳述】
<根拠法令>
・社労士法第2条の2
<概要>
・社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項および労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所で補佐人として活動できる。
<具体的内容>
・弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述することができる。
・社労士が行った陳述は、当事者または訴訟代理人が自ら行ったものとみなされる。
・ただし、当事者または訴訟代理人が社労士の陳述を直ちに取り消し、または修正した場合は、この限りではない。
この記事では業務・法人・紛争対応についてご紹介しました。
次回に続きます!
